岩波古語辞典補訂版「や」p1499(5)

そういう漢文の影響下に日本語が置かれた。
それで(4)を解釈したのであろう。

(4)a 嘆きつつ我が泣く涙有馬山雲居たなびき雨に降りきや
(4)b 三輪山(みわやま)を、しかも隠すか、雲(くも)だにも、心あらなも、隠さふべしや
(4)c 天の川 水底さえに 照らす舟 泊てし舟人 妹に見えきや

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>嘆きつつ 我が泣く涙 有馬山 雲居たなびき 雨に降りきや
>嘆き嘆いて私の泣く涙は、そちらの有馬山に雲となってかかり、雨となって降ったでしょうか

からごころ(漢意)のこの歌を、大和心の係助詞「や」の後続部分疑問文にすると、
過去の助動詞「き」の終止形「き」を、連体形「し」にする。
「雨に降りき」を疑問文にすると

「嘆きつつ 我が泣く涙 有馬山 雲居たなびき や 雨に降りし」 「や」用言に見る場合
「嘆きつつ 我が泣く涙 有馬山 雲居たなびく や 雨に降りし」 「や」体言に見る場合

それのバリエーションで
「嘆きつつ 我が泣く涙 有馬山 や 雲居たなびき 雨に降りし」
  「雲居たなびき 雨に降りき」が疑問文

「嘆きつつ 我が泣く涙 や 有馬山 雲居たなびき 雨に降りし」
  「有馬山 雲居たなびき 雨に降りき」が疑問文

「嘆きつつ や 我が泣く涙 有馬山 雲居たなびき 雨に降りし」
  「我が泣く涙 有馬山 雲居たなびき 雨に降りき」が疑問文

「や 嘆きつつ 我が泣く涙 有馬山 雲居たなびき 雨に降りし」
=嘆きつつ 我が泣く涙 有馬山 雲居たなびき 雨に降りき か

さらにバリエーションで
「雲居たなびき」だけを疑問文にしたい時は、
連用形「たなびき」を連体形「たなびく」に変えて

「嘆きつつ 我が泣く涙 有馬山 や 雲居たなびく 雨に降りき」
  「雲居たなびく」が疑問文

「嘆きつつ 我が泣く涙 や 有馬山 雲居たなびく 雨に降りき」
  「有馬山 雲居たなびく」が疑問文

「嘆きつつ や 我が泣く涙 有馬山 雲居たなびく 雨に降りき」
  「我が泣く涙 有馬山 雲居たなびく」が疑問文

「や 嘆きつつ 我が泣く涙 有馬山 雲居たなびく 雨に降りき」
=  嘆きつつ 我が泣く涙 有馬山 雲居たなびく か 雨に降りし
  「嘆きつつ 我が泣く涙 有馬山 雲居たなびく」が疑問文