上代語「はも」(3)

これらを踏まえて、万葉集の歌にあたってみたい。

・さねさし相摸(さがむ)の小野に燃ゆる火の火中(ほなか)に立ちて問ひし君はも

・夕さればみ山を去らぬ布雲(にのぐも)のあぜか絶えむと言ひし子ろはも

・防人(さきもり)に立ちし朝明(あさけ)の金門出(かなとで)に
  手離(たばな)れ惜しみ泣きし児(こ)らはも

・春日野の雪間をわけて生ひ出でくる草のはつかに見えし君はも

・ささの葉にふりつむ雪のうれを重み本くだち行くわがさかりはも

・昼はも日のことごと夜はも夜のことごと ← (これはちょっと違う)

・早川(はやかわ)の瀬に居(い)る鳥のよしをなみ
  思ひてありし我(あ)が子はもあはれ ← (これはちょっと違う)

これくらい例を挙げれば、
公理(1)、公理(3)を、規則性法則性を、感じ取ってくれるでしょう。 

http://575.jpn.org/article/174793941.html

>さねさし相摸(さがむ)の小野に燃ゆる火の火中(ほなか)に立ちて問ひし君はも
>   弟橘比売命
>■ 訳
>ああ、相模の野原で火に囲まれた時、
>火中に立って私を気遣ってくださった(愛しい)あなた。
>(どうかご無事でありますよう。) 

>「さねさし」は相模に掛る枕詞
>(”さねさし”は意味もなぜ相模に掛るのかも確実な理由は分かっていません)、
>「相模(さがむ)」は現在の神奈川県(小田原市周辺)、
>「問ひし(とひし)」は見舞った、
>「君はも(きみはも)」は貴方よ(”はも”は強い詠嘆)、
>をそれぞれ意味します。 

ヤマトタケルの妃であるオトタチバナヒメが辞世の句」云々の件は出鱈目だろう。

「問ひし君はも」
=問ひし君+は+も(co- ko-)
=問ひし君+あり+共に・一緒に+あり
=問ひし君あり、共にあり

全体として
・さねさし相摸の小野に燃ゆる火の火中に立ちて問ひし君あり、共にあり

ほぼ現代文で、格別の解説が不要なくらいにしっくり来てると思う。